儀式にはもちろん、礼儀を伴うべきです。そしてその心は敬意やつつしみであり、それは世界中で共通であり、お互いに尊重すべきことだと思います。
そこで、堂内に以下の文書を掲示しました。
ご参列および司会の方へ
仏事に限らず、儀式は礼に始まり、礼に終わるものです。
法要の最初と最後には、着座の方は和式の正座にて、また椅子にお掛けの方は、洋式にお立ちになり、礼を示すべきと存じます。
なお付け加えますと、導師の入退場に合せて礼法をお勤めいただきますが、ご本尊様と、ご供養の仏様に対する礼儀と心得て、導師と伴にお参りをお願い致します。
山主 敬白
最近、生活習慣や、食生活の変化なのか、足の痛みを訴える人が多くなりました。お寺での行持の際にも、椅子を求められることが増えました。そのため當寺でも堂内に椅子を常設することにしましたが、どうも釈然としません。足が痛いからという理由ならば、礼儀は整えずとも良いのだろうか、と思える光景が目につくのです。最初からあぐらをかいている礼服の紳士や、我先に椅子を確保するご婦人がいるようなのです。また若い人や子供が椅子に腰掛け、足が痛いはずのご老人がお座りになっている。いかがなものでしょうか。
訪問先においては、畳の部屋ならば、まず正座で挨拶が礼儀だと存じます。また椅子を勧められても、主が部屋に入ってきた場合には、立って挨拶をするべきでしょう。ましてや葬儀や、仏様の供養の儀式です。早く到着して、事前には寛いでいたとしても、行持の始まりに導師が入場した際には、一緒に礼法を勤めるべきだと考えます。
和風の空間には和風の礼法、洋風には洋風のそれとはいえ、畳の上に椅子の和洋折衷の場合はどうすべきでしょうか。それならば畳の上に着座の方は、正座に座り直すべきであり、椅子にお掛けの方は、洋風にお立ちいただくことにしたのです。
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